ヒヤリハットとは、事故にまではならなかったものの事故になっていた可能性のあるエピソードのことをいう。雪道を歩行中、滑って転びそうになったとか、トラックが後退してきてひかれそうになったとか、そういう事例のことである。この記事では、介護現場でのヒヤリハットについて書きたいと思う。
介護現場において、ヒヤリハットの事例を知ることは極めて重要なことなのだ。なぜかというと、ヒヤリハットの事例を知っておくことで起こるかもしれない事故をあらかじめ予測することができるからである。また、危険を予測することができれば、焦らずに冷静に対処することが可能だ。介護現場でのヒヤリハットはなぜ起こるのか、今までの多くの事例を分析すると、主に2つのパターンがあることがわかる。
一つ目は「介護する側に要因がある」ケースだ。介護者は常に気を張って仕事をしなければならない。そのため、ストレスが溜まったり、体調不良や集中力の低下から、ミスにつながってしまうのである。二つ目は「環境に要因がある」ケースだ。「段差につまずいて転んだ」とか「手すりがない場所で転んだ」とかそういうケースだ。このような場合、もう二度と同じ事故が起こらないように改善することが重要だ。
ハインリッヒの法則といわれる考え方がある。これは大規模な事故が1件起きれば、その裏には小規模な事件が29件、ヒヤリハットが300件起きているという考え方だ。事故というのはヒヤリハットの積み重ねによってできるのだ。そのためヒヤリハットには常に気を付けておかなければならないのだ。